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Vol.21
公示地価から読み解く
人気エリアの変化

フリーランス&ライター
井村 幸治 いむら こうじ

フリーランスエディター&ライター。1964年、和歌山県生まれ。リクルート(現リクルート・ホールディングス)にて不動産、ブライダル領域の編集に長年にわたって携わる。その後フリーランスとして住宅、都市開発、メディカル、ブライダルなど様々な分野で取材執筆活動を行う。東京⇒名古屋⇒大阪の転居を2回ずつ経験したことで、各都市の住宅事情にも精通。日本各地への取材、旅行経験も豊富。現在は大阪府吹田市「千里ニュータウン」在住。

先日、国土交通省から「公示地価」が発表されました。東京:銀座や大阪:心斎橋の地価が高騰したというニュースを見た方も多いでしょう。こうした動きは都心のごく一部のエリアの出来事なのでしょうか?また、住宅市場に対する影響はないのでしょうか?いくつかの視点から地価動向とその背景を読み解いてみましょう。

<1>公示地価は8年ぶりに上昇、都心部では最高価格を更新

3大都市圏や、地方主要都市での地価上昇が顕著に

国土交通省が発表した2016年1月1日時点の公示地価は、全国の全用途平均が8年ぶりに上昇に転じました。地価上昇率は、東京、大阪、名古屋の3大都市圏の商業地で約2.9%、住宅地で約0.5%と上昇傾向が続いていることに加えて、札幌市、仙台市、広島市、福岡市といった地方中枢都市の上昇率は商業地が約5.7%、住宅地が約2.3%と3年連続で3大都市圏を上回る結果となりました。一方で、これらの4市を除いた地方圏全体では約1.0%下落しており、“二極化”の動きが顕著になってきています。

この地価変動の背景には、訪日外国人観光客の急増、いわゆる「爆買い」の影響も大きいとされています。今回の調査で地価上昇率が最も高かったのは大阪市中央区心斎橋の調査点で、約45.1%の上昇を示しました。また、東京都中央区銀座では1㎡当たり4010万円と、1980年代のバブル期を超え過去最高価格を更新しています。店舗やオフィス、ホテルと、旺盛な需要を背景として商業地ニーズが増加したからです。

こうした急騰は、都心一等地での限られた出来事なのでしょうか?住宅購入に与える影響はないのでしょうか?

3大都市圏や、地方主要都市での地価上昇が顕著に

東京圏の動きを詳しくみると、特に地価上昇率が高いのは都心部の商業地です。市区町村別の地価変動率マップをみると、地価上昇の波は都心7区を中心にしてドーナツ状に広がっていることがわかります。

東京圏・商業地の地価変動率マップ

※引用:国土交通省「平成28年地価公示」

もともと商業地は店舗やオフィス需要に加え、不動産投資資金の流入などの影響も受け、変動幅が大きく振れる傾向が強いものですが、今回の地価上昇の背景には外国人観光客の増加だけでなく、景気回復基調の反映や東京オリンピックに向けた再開発需要の増加も影響したと考えられます。

主な都市における商業地の「最高」価格の推移

※出典:国土交通省「平成28年地価公示」

主な都市における住宅地の「平均」価格の推移

※出典:国土交通省「平成28年地価公示」

一方、住宅地は地価変動の影響を受けるものの、商業地と比べると穏やかな推移を示しています。「住まい」という実需に根ざした市場でもあるので、投機的な資金流入が少ないことや、都市近郊部や郊外部での立地が中心となることで、地価上昇の影響が穏やかになっていることがその背景にあります。

都道府県(全国)最高価格地(住宅地・商業地)を用いた平均価格指数の変動率

地価変動率の推移を、商業地と住宅地に分けて指数化したのが上記の図ですが、上昇時・下降時ともに商業地は振れ幅が大きくなっていることがわかります。

こうした地価変動の特性を考慮すると、今回の都心の商業地を中心とした地価上昇をどう考えればいいのでしょうか?別な視点からデータをもとに検証してみましょう。

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