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Vol.28
2017年公示地価発表!
地価上昇は続くのか?

フリーランス&ライター
井村 幸治 いむら こうじ

フリーランスエディター&ライター。1964年、和歌山県生まれ。リクルート(現リクルート・ホールディングス)にて不動産、ブライダル領域の編集に長年にわたって携わる。その後フリーランスとして住宅、都市開発、メディカル、ブライダルなど様々な分野で取材執筆活動を行う。東京⇒名古屋⇒大阪の転居を2回ずつ経験したことで、各都市の住宅事情にも精通。日本各地への取材、旅行経験も豊富。現在は大阪府吹田市「千里ニュータウン」在住。

国土交通省から「2017年公示地価」が発表されました。全国的にみると、全用途の平均地価が2年連続で上昇を示し、住宅地は9年ぶりに下落から横ばいに転じました。個別にみてみると、東京都内や大阪市内の繁華街が著しく上昇しました。公示地価からみえる土地価格の動きと、今後の動きを考えてみましょう。

<1>2年連続の地価上昇、住宅地は横ばいに

3大都市圏と地方主要都市の商業地地価上昇が顕著

国土交通省が発表した2017年1月1日時点の公示地価は、全国の全用途平均が2年連続の上昇を示しました。用途別にみると、「商業地」が2年連続で上昇し上昇幅も拡大、下落が続いていた「住宅地」が横ばいに転じました。地価動向の大きなうねりを示す下のグラフをみても、商業地ではリーマンショック(2008年)以前の価格を超えたことがわかります。

地価公示の都道府県最高価格地を用いた平均価格指数及びその変動率

※グラフは1974年を100として、47都道府県の最高価格地(青が住宅地、赤が商業地)を用いた平均価格を指数化したもので、数値の小数点以下は省略しています。
出典:国土交通省「2017年公示地価」

上のグラフからも、バブル期には商業地で500(5倍)以上となっていた地価が一時100前後まで下落し、一旦持ち直したもののリーマンショックによって再下落。再びなだらかに回復傾向をみせて、商業地ではやっと2008年前後の小さなピークを越える水準になってきています。

エリア別の対前年比をみると、東京圏・大阪圏・名古屋圏の三大都市圏の住宅地が0.5%の上昇、商業地が3.3%の上昇と、地価上昇が続いています。札幌・仙台・広島・福岡といった地方圏(地方四市)の上昇率は住宅地が2.8%、商業地が6.9%と、三大都市圏を上回る結果となりました。ただ、これらの地方圏(地方四市)を除いた地方圏(その他)では住宅地が0.8%、商業地が0.9%の下落を示しています。下落幅はやや縮小したものの、地方圏のなかでも“二極化”の動きがあることがわかります。

圏域別・用途別対前年平均変動率

※地方圏とは、三大都市圏(東京圏・大阪圏・名古屋圏)を除く地域のことを指します。
※地方圏(地方四市)とは、北海道札幌市、宮城県仙台市、広島県広島市、福岡県福岡市を指します。
※地方圏(その他)とは、地方圏の地方四市を除いた市町村の区域を指します。
出典:国土交通省「2017年公示地価」

また、「主な都市における商業地の「最高」価格の推移(下図)」をみると、2008年のリーマンショック以前を上回る地価水準を示していますし、東京23区に限ってみるとバブル期の水準も大きく超えてきていることがわかります。もちろん全体的な動きではありませんが、一等地への土地のニーズは非常に高まっていることがうかがえます。

主な都市における商業地の「最高」価格の推移

出典:国土交通省「2017年公示地価」
都市中心部の商業地では大幅な地価上昇も

こうした三大都市圏や地方圏(地方四市)の商業地における地価上昇の背景には、景気の回復や、東京オリンピックに向けた開発需要の増加、そして日銀のマイナス金利政策をベースとした低金利による余剰資金流入に加えて、インバウンド(訪日外国人観光客)の増加によるホテルや商業施設の需要増も大きく影響しています。特に今回の調査ではその傾向が顕著で、全国の全用途での地価上昇率ベスト5は大阪市内の商業地が占める結果となりました。いずれも有数の繁華街「キタ」と「ミナミ」の中心地です。

2016年に大阪を訪れた外国人観光客数は約941万人となり(大阪観光局調べ)、約263万人だった2013年との比較では、約3.5倍もの増加を示しています。高い集客力を持つエリアには旺盛な土地需要も生まれているということでしょう。

このほか、6位には京都市中京区の祇園近辺、7位には名古屋市中村区の名古屋駅前、8位から10位には東京都中央区の銀座と続いています。まさに、インバウンドを中心とした観光客で賑わうスポットばかりです。

商業地の変動率上位順位表

出典:国土交通省「2017年公示地価」

ただ、こうしたインバウンドの動向にも変化が起こり始めています。すでに「爆買い」と呼ばれる現象はほとんどみられなくなりました。インバウンド向け施設の中には思わぬ苦戦を強いられているケースもありますので、同じようなペースで地価上昇が今後も進むかどうかは不透明感が漂っています。

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